本日は、(株)PEERの設立日です。
ピアは10歳になりました。何もわからなかった私は、みなさまに教えてもらい、育ててもらい、いつの間にか10年経っていた、というのが正直な感想です。感謝の気持ちが山盛りです。
法人登記は4年前ですが、その前は個人事業として6年ほどやっていましたから、通算10年。あっという間の10年でした。
いつも、これでいいのかよくわからず、悩み事ばかりですが、ピアを使ってくれる皆さんの声に耳を傾けながら進んでいます。一番良いことは、髪が抜けなくて、副作用も無くて、治療もパッと終わること。日常が続いて、笑い飛ばせること。
治療をそんな風に変えてしまうことは、私たちには出来ません。ですが、がんばる皆さんに具体策を持って伴走することは出来ます。
これからも具体的に「今こまっていることに、今役に立つ」を大切に、一人一人の言葉に心を寄せて、役に立てるように、真摯でありたいのです。
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10年目の本日、スペシャルな事件がありました。
数年間ピアに通ってくれているMちゃんが、ニッコニコしながら遊びに来てくれました。超笑顔のすてきな写真をもって、旅行報告に来てくれました。
こんな笑顔みたことないぞ!という素敵な笑顔の写真と、その状況を、空気の匂いが伝わりそうなくらいの表情で話してくれるMちゃんとお母さん。
私もうれしくて、美容師の近藤もニコニコ、とにかくうれしい時間でした。
私たちはウイッグを作り、帽子を作り、がんばる皆さんの背中をちょっとだけ押す仕事をしています。うまくいくこともあるし、いまいちなときもあります。失敗もあります。失敗は、全力で挽回の努力をします。うまくいったときは、みんなで大喜び。こういう現場の感情は、数字には表せませんが、確実に存在します。
仕事とは何のためだろう、何のために働くのだろう、と学生に聞かれることがあります。そんなテーマで講演することもあります。その理由ややりがいは頭で考える事ではなく、必死の現場の中にだけひっそりと存在するものです。
現場に時々神様が降りてくるような瞬間が有り、その瞬間が仕事のやりがいの99%を占めています。その瞬間を作るためには、小さな努力や、工夫の繰り返し。大体泥沼のようなことで、キラキラしたことは1%くらい。それが仕事。でも、このキラキラの1%が、仕事が役に立っていると自信を持って言える源泉になっています。
10年前、26歳の看護学生だった私は、担当した患者さんに十分な情報提供ができないことに本気で腹が立ってました。用意してね、というけれど、情報も無く、買いにくい、高い。困りごとは永遠に解決されない。ウイッグがあればとにかく何かが変わるかもと思い、ピアを小さく立ち上げました。
まさか10年経ってこんな事になっているとは思いませんでした。途中母親の介護で、ピアのことも忙しくて、寝たきりで意識のない母親に無意識にクッション押しつけてうっかり殺人者になりかけたのも、良い思い出です。
介護も、闘病も、患者の家族も、理想通りには進みません、だからこそ、ちょっとでも楽に過ごす方法を見つけていけるお手伝いは必要です。人間ですから。
これからも、真摯に、逃げず、迷わず、お一人ずつの気持ちに寄り添える小さな会社であろうと考えています。10年一区切り。仕切り直しで、今日からまた頑張ります。
今日は、ちょっとご褒美ということで、こんな時間にお一人様ケーキとお茶でございます。こういう不良も、たまには自分を許しましょう。
さて、まだまだ10年。これからです。